2009年8月17日月曜日

「山水人日記 弐号」 阪本 守

 ■春到来

ワラビの里で生まれたいのちを、育む親の心よ。異国の親を慕う乙女の未来よ。日本政府が不法残留フィリピン人・親子を、離れ離れにするニュースを見て、茶の間で考える。
この国は、何をしているのだろうか?目の前にやってきている危機とは、日本人社会に求められるサポート。
どの国に生きていても、人として守られるべきだ。親子を引き離す法律の方こそ、見直されるべきである。
ようやく、山桜が咲いた。薪集めに精を出し、来たる冬将軍に備えよう。島ミミズも越冬した。わらを撒いた田に鍬を入れ、一掘りずつ復活した水路に春の水を誘う。

山水人村日記

■ブナの育む森の里山

お田植え花が谷を桃色に染め、やがて白に変えてゆく。熊谷川の水もアマゴや岩魚が跳ね、花の香りを風に乗せる。
雪に倒され立ち枯れた木々やカエルのサンクチュアリが、黄鶏菖蒲の池に現れ、悲喜こもごものみどりを彩り、いのち、輝くシーズン。冷える清水、陽の下でも変わらず、小川、尽きることなく流れる。
山野草に心惹かれ、糠のボカシをハウスで還し、電柵の杭打ちに、下草刈りの手を休めた。
朽木の麻生川にダムでも造るのか?川の中流域が人工物に溢れ、森が切り払われているという。沢を渡る噂には、突発的な降雨の水量を調整する、2つのミニ・ダムを建設中とのこと。
麻生政権が無くなるのが早いか?麻生川から岩魚が姿を消すのが早いか?どうやら時間の問題など喧しい。
朽木木地山の生態系はどうなるのだろうか?環境への影響が気になるところだ。滋賀県庁に質問状を送ろうか?知事に直談判?、なんて話になってきたら大変だ。


■ ちいさないのちのつながりが

モリアオガエルの卵が樹上から池に放たれ、夜のコーラスを奏でると、不思議の国の扉が開く。

「ダイアモンドリング」

西の星を観ようと、トカラ列島に旅した友よ!
フィリピンの戦災孤児が、日本に帰ってきた。
先の戦争の被害者が、年老いて郁に辿り着いた。
いま初めて、祖国の土を踏む、孤独の時・・・。

北海の山脈に吹き荒む、冷雨に討たれて、
凍える心そのままに、好きな山でいのちを閉じる。
ヒート、狂乱の都市生活者たちも、熱中症の幾人かが供をした。
皆既日食の西の空の下、降り注ぐダイヤモンドリング

急拵えの国際村で、あらゆる色の目撃者となり
逢いある世界を知るだろう。
愛、在る世界の体験だ。
明日は・・・?何処に・・・。

朽木の皆既日蝕